こんにちは。4児ママライターhitchです。
みなさん、 “葛布(くずふ)”という布はご存じですか?
大井川流域など河川の土手や道路脇に見られる葛の蔓(つる)を使って織った布を“葛布”と言います。今回は、この葛布を使った藍染体験に行ってきました。
織物や藍染の体験ができる、葛布の工房『大井川葛布』
やってきたのは、トーマス号が走る大井川鐵道新金谷駅から徒歩3分のところにある『大井川葛布』さん。
こちらの工房では、葛の蔓から取れる葛苧(くずお)を使って布を織る葛布の織物体験や、葛布を藍の染料で染める葛布の藍染体験ができます。ロシアやタイ、フランスなど、海外から体験に来られる方もいらっしゃるそうです。
完全手作業!葛布ができるまでをご紹介
まずは、『大井川葛布』織元の村井先生から、葛布に使う糸がどうやって作られるのかを教えて頂きました。
写真右にいらっしゃるのが村井先生です。
まず、夏に伸びた葛の新芽の蔓(つる)を刈り取り、それを煮て冷まし、川の流れで洗って繊維を取り出します。この取り出した繊維は「葛苧(くずお)」と呼ばれます。
葛苧を乾燥させたものをさらに針先や指先で裂き、ひとつひとつ繋いで糸を作るのだそうです。
この工程は全て手作業で、非常に手間暇かけて作られていることに驚きました。そして、この糸を使って作られた葛布は、実は大井川の伝統工芸のひとつなのです。
今回はたまたま、糸を繋いでいるところを見せていただくことができました。
一本一本、葛苧を丁寧に繋いでいます。これが糸となり、布となるのですね。根気のいる作業ではありますが、これが商品になったときの達成感は言葉に表わせないくらいでしょう。
この繋いだ糸を織り機で織っていきますが、なんと、この織り機も手作りなのだそうです。
今回は特別に、葛布織りも少しだけ体験させて頂きました。座るところは木の板一枚。お尻が落ちないか心配でした(笑)
織り機で手や足をリズムよく動かしていくと、こうやって葛布ができてきます。
この葛布は自然の植物から作られているので、肌にとってもやさしく、体にも安心で安全。衣服をはじめ、ボディタオルや歯磨きクロスにも使用されるそうです。
染める模様を決めて、まずは藍染前の下準備
さて、いよいよ葛布を使って藍染体験!
まずは出来上がりの模様をどんなものにしたいのかを決めて準備します。模様は大きく分けて『丸い円模様の絞り』、『格子模様の板締め』、『グラデーション』の3種類があります。
私は『丸い円模様の絞り』にしました。葛布に円を作りたいところへマーキング。
描いた円の中心をつまんで、紐できつく巻いていきます(ここポイント!緩いと染めたときにうまく円にならないことがあるようです)。
巻く紐は、輪ゴムを代用してもできるそうなので、子どもでも一緒に体験できますね。
紐を巻く幅によっても円の大きさが変わります。
『格子模様の板締め』は、葛布を折りたたむ工程で、布の隅と隅をきっちり合わせるのがポイントです。
板で布を挟み、紐で縛っていきます。この作業は一人では大変なので、二人がかりでやります。
いよいよ染めます!あれ?藍染なのに緑の染料?
下準備ができたところで、外へ移動。
水の入ったバケツに先ほどの葛布を入れます。
染めに使う藍の染料は水に溶けないそうで、泡立たせるように入れた水の中へ葛布を入れて酸素を含ませることで、藍の色素が溶け込むのだそうです。
葛布を水から出して絞ったら、
次は、藍の染料が入った入れ物の中に入れます。
時間を計るため、村井先生のかけ声に合わせて、みんなで一斉に葛布を入れます。
「うわぁ~、あったか~い!」
染料が人肌くらいの温度なので、足湯ならぬ手湯!? のようで気持ちいい♪ そして、よく見ると藍の染料なのに色は緑(写真ではわかりにくいかな?)。これが藍色に変わるの?なんて思いながら、染料がしみ込むように揉みます。
時間が来たら、今度は水につけて、紐をほどいて、乾かしていきます。
「すご~い!きれいに模様ができてる!」
水から出して酸素に触れることで、緑色から藍色に変化するのだそうです。写真では色の変化が撮れませんでしたが、体験すると色の変化も楽しめます。ぜひ、ご自分の目で見てみてくださいね♪
煎じれば薬にもなる『葛』
藍染めした葛布が乾くまで、ちょっとティータイム♪ 村井先生が“葛花茶(かっかちゃ)”を淹れてくださいました。
実は、葛の根茎から葛粉が採れるそうで、風邪ひきそうだな…というときに飲んだことのあるあの葛根湯もこの葛から採れるそうです。また、秋には紫色の花が咲き、これも葛花茶=葛花湯という漢方薬になるそうです。
葛根湯が苦手な私。葛花湯も漢方薬になるというくらいだから、苦いのかな?飲めるのかな?と不安いっぱい(笑)
でも、そんな心配をよそに、匂いや味にくせもなく、私の好きなルイボスティーよりも飲みやすい。そして、体にじんわりしみ込む感じがして、ほっこり。葛花湯は、更年期障害軽減や利尿作用もあるそうですよ。
まるで売り物!? 葛布の藍染ハンカチ完成!
そうこうしているうちに、藍染した葛布が乾いたので、アイロンをかけて完成です!
素敵な葛布の藍染ができました。ハンカチサイズなので、持ち歩きにもピッタリです。葛布は、洗ってもすぐに乾くのが特長なので、ティーマットにしても良いかも!
大井川流域に生息する葛を使った葛布の染織、みなさんもぜひ体験してみてくださいね。
『大井川葛布染織体験』
大井川葛布
住所:静岡県島田市金谷泉町5-1
(大井川鐵道新金谷駅から徒歩3分、JR金谷駅から徒歩18分・車で4分)
TEL:0547-45-4151
「藍染体験」
料金:3,240円(税込)
体験日:1週間前までに要予約(工房へお問い合わせください)
持ち物:長靴、ゴム手袋、エプロン、ビニール袋、汚れてもいい服装
*お子様の参加も可能です。
その他、染色教室、織り体験などもやっていますので、工房にお問い合わせください。