こんにちは!大井川鉄道の地元・島田市金谷在住ライターのhitchです。4児の母です。
早速ですがみなさん、上の写真の方は誰でしょうか?知ってるあなたは大鉄マニア!! そう、大井川鉄道の名物広報・山本豊福(とよふく)さんです。
大井川鉄道が誇る現役のSLの素晴らしさをたくさんの人に伝えるべく、約10年に渡り大鉄の広報を担当していらっしゃいます。やわらかな口調と独特のキャラクターから飛び出すマニアックな鉄道トークが人々の心をつかみ…実は年間数十本のテレビ番組に登場するほど(!!!)の人気っぷり。テレビで見たことある!という方もいるのではないでしょうか。
今回お届けするのは、そんな大井川一の人気者・豊福さんと一緒に大井川鉄道のSLに乗ってその楽しみ方を直伝していただくという、大鉄ファン垂涎の企画なんです!
鉄道ファンならずとも、これを読めばきっと大井川鉄道のSLに乗ってみたくなりますよ♪それでは本編をどうぞ!
豊福さん直伝!なぜ今SLか
「電車では味わえない、うん、生き物って感じが、します、ウン、するんですよね」
生き物?SLが?
取材を始めて開口一番、出ました豊福さん節。SLの始発駅・新金谷駅で出発準備をしているSLを特別に見せていただき、その理由を語っていただきました。
駅のホームに停車中のC5644。この日はあいにく雨降りなこともあり…一見クールに見えますが、
運転席はこのとおり…
石炭が真っ赤に燃えてます。これのおかげでSLの運転席はめっちゃ暑い!
「まず乗る前に知っておきたいのは、SLは人が動かしているという事実です」
要約すると、SLは現代の電車などとは全く違って、石炭と水と薪を使い、上り坂なら石炭をくべて火力を強めるというふうに、機関士さんたちが常にSLの調子を見ながら走らせているということ。しかも大井川鉄道で走る4両のSLはどれも昭和5〜17年代に製造されたもので、とっても手がかかるんだそうです。
客車に乗り込む前に運転席ものぞいてみましょう。運転士さんたちが、出発前の作業をしている様子を見られるかもしれません。古そうな機械がたくさんあって、これを動かすのか〜って感心してしまいます。
SLの動力が石炭と水と薪っていうのも、現代生活からすると驚きです。SL機関車だけでも重さは60トン以上になるらしく、それを石炭と水と薪で動かしてるって…すごくないですか?
仕組みを知ると、なんだかSLに乗るのがありがたくなってきた…さあいよいよ豊福さんとSLに乗って、新金谷駅を出発です!
豊福さん直伝!あの人気アイドルも座った席は…
ところで、昭和の時代が舞台の連続ドラマや映画で、主人公がSL列車に乗ってるシーンって見たことありますよね?大井川鉄道では、映画やドラマのロケもよく行われているんですよ。テレビで見たあのシーン、大井川鉄道で撮影したものだった!ってことも多いんですよ。
実は大鉄広報担当の豊福さんのお仕事の大半を占めるのが、メディア対応。両数や運行日数など、全国トップの規模でSLを運行する大井川鉄道には、テレビ・雑誌・インターネットなどの各種メディアから、旅行・バラエティ・ドラマなど、目的も様々な取材依頼や問い合わせが日々大量にあるんだそうです。
その大きな理由が、
このレトロな木製の客車。昭和時代に運行されていた客車が現役で!しかも写真のこの一両は、よく見ると天井が高くて、扇風機もありません。しかも白熱灯。
「撮影のためにこの一両だけわざと当時のままにしてるんですよ」
と豊福さん。
トンネルに入るとますます雰囲気ある〜!
ガタンゴトン…と揺られていると、本当にタイムスリップした気分。これはぜひ一度味わってほしいです。
この空間で撮影されたドラマ・映画は数知れず。
ちょっと前ですが、超人気アイドルグループのさく◯い君がロケで座った席は、前から何列目の…窓際?…豊福さんごめんなさい忘れました!けどきっとこの車両には、たくさんの芸能人や俳優さんたちが乗ったはず。そんな妄想(?)をしながら乗るのも楽しいですよ。
豊福さん直伝!窓を開けよ、風を感じよ
さて、いつの間にか窓の外は一面の茶畑に。大井川本線のSL旅、約80分の旅路の中盤は、大井川中流域の川根という地域を走ります。お茶の産地として有名です。
「やっぱり〜あれですね、SLに乗ったら窓を開けてみてほしいですね」
と豊福さん。(雨も止んだみたいです。)
さっきも書いたとおり、大井川鉄道のSLの客車は昭和10〜20年代生まれ。エアコンなんてないです(車両によっては扇風機は付いてます)。暑ければ窓を開けるしかないんですが…
「エアコンに比べれば暑いですが、窓から入る風が気持ちいいんですよね〜。SLは窓が開くのでそこも僕としては、大井川鉄道の、SLの魅力としてお伝えしたい」
確かに。列車に乗って風を感じることって、なくないですか?最近では珍しいかも。自然に囲まれた大井川鉄道ならではのおいしい空気が感じられます。窓ガラスで反射しない、生の景色もなんだか新鮮です。
「それから音も魅力ですね。」
音?汽笛ですか?
「うん、汽笛ももちろんなんだけど〜、ガタンゴトン、シュッシュッというSLの走行音を聞きながら、のどかな景色を眺めるのもSLならではの楽しみですね〜う〜ん」
確かに。五感で感じるってまさにこんな体験のことかも…と実感したhitch。
汽笛の音、蒸気の音、車輪がレールを滑る音、そして心地いい列車の揺れを感じながら…出発前に見せてもらった運転席、今頃運転士さんたちは石炭をくべてるのかな〜なんて。
なんだか贅沢な乗り物だな〜なんて思えてきましたよ。
豊福さん直伝!1つで3つうれしい♪オリジナル駅弁
大井川鉄道のSL列車は、だいたいお昼の時間を跨いで運行されます。とくれば欠かせないのが、駅弁!ですよね。
今回は大井川鉄道の駅弁の中から豊福さんのイチ押し駅弁をチョイスしてもらいました。その名も『大井川ふるさと弁当(¥1,080)』。
まずその中身は、ジャーン、
野菜の旨煮、海老の佃煮などひとつひとつ味がしっかりしていておいしい。岩魚の甘露煮も1匹まるごと入っています。岩魚と目があってちょっとビックリしましたが…笑。竹皮の包みも“ふるさと”っぽくていい感じ♪
豊福さんがこのお弁当をオススメする理由はお弁当の内容のほかにもあって…
「もれなく、オリジナル絵はがきが付いてくる!」
新茶の時期の写真ですね!これは記念にもおみやげにもなりますね♪
「さらに、静岡方言集も付いてくる!」
包装紙をはがすと、大井川地域を含む静岡の方言集が登場!
おばあちゃんがよく使ってた~なんて思って見てたら、私もよく使う言葉が載ってる…(笑)。みなさんも『大井川ふるさと弁当』で方言を覚えて、大井川鉄道の旅で使ってみましょ〜。
さすが豊福さんのイチ押し弁当、小ぶりに見えましたが、景色とおしゃべりを楽しみながら食べるには十分な量でした。みなさんもぜひ味わってくださいね。
※駅弁は新金谷駅でSLに乗る前に、駅構内の売店『プラザロコ』で買うことができます。
豊福さん直伝!これって大井川だけ?乗客と住民が○○します!
大井川本線のSLの乗車時間は、出発駅の新金谷から終点の千頭駅まで約80分。そろそろ終点に到着しようとしています。
豊福さん「うん、ところでhitchさん、乗ってみて気づいたこと何かありますか?」
気づいたこと…?素敵な発見はたくさんあったけど…。
豊福さん「hitchさん、さっき窓から手を振ってましたよね?」
うん、振った!途中、茶畑にいる人がこっちに向かって手を振ってくれてたから…。そういえば、鉄橋から見えた『川根温泉 ふれあいの泉』の露天風呂からも、裸のおじさんたちが手を振ってくれてました(こんな感じで↓)。
豊福さん「SLに手を振るのはなぜだと思う?」
え?SLを見ると私も無意識にいつも手を振ってるかも…なんでだろう?私自身大井川鉄道のすぐ近くに住んでいて、子どもが小さい頃はよく散歩中にSLに向かって手を振ったな〜。でも理由なんて考えたことがなかった。
豊福さん「理由はわからないけど、なんらかの人と人とのかけ橋ができてるのかな…」
て、わかんないのかい!ってツッコミ入れちゃいそうでしたが、なんだか素敵。「いってらっしゃ~い」「いってきま~す」、「ようこそ~」「来ましたよ~」なんて、沿線の人と乗車している人が、手を振ることで会話しているような不思議な温かさを感じます。
大井川鉄道の地元に住む私たちはSLを見ると手を振るのが当たり前になっているけど、県外の方からしたら当たり前じゃないんですね。これ、大井川鉄道ならではの素敵な習慣といえそうです。みなさんもSLに乗って体験してみてください!
おまけ
というわけで、以上、大鉄・豊福さん直伝!大井川鉄道の旅を200%楽しむ方法〜大井川本線SL編〜をお届けしました。SLの旅のおもしろさが少しでも伝わったでしょうか?
…実は、今回は本企画の第1弾ということで、豊福さんのマニアック度は結構低めなんです。SLが初めてという方にも読んでいただけるように。豊福さんと大井川鉄道のお話はまだまだありますので、第2弾もご期待くださいね。
今回の取材は帰路もSLに乗りました。
あれ、豊福さん…?
SL列車の乗り心地。その何よりの証拠は、豊福さんの寝顔にあったのでした☆
住所:静岡県島田市金谷東2丁目1112-2
SLの予約:0547-45-4112
SL乗車料金:大人1名 ¥2,520 こども1名 ¥1,260
(乗車区間は新金谷駅〜千頭駅までです。)
SLの発車時刻につきましては、大井川鐵道HPをご覧ください。