昨年、オープンしたての時期に訪れたふじのくに茶の都ミュージアム。1年ぶりの再訪です。

ふじのくに 茶の都ミュージアムはその名の通り、お茶の産業・歴史・文化紹介する展示を中心に、子どもから大人まで楽しくお茶について学べる機会を提供するというコンセプトの博物館です。

昨年は館内の展示物と庭園をぐるっと見てまわりましたが、今回は“体験”という点に焦点を当ててこちらの博物館を楽しみたいと思います。

 

日本庭園を散策

まずは、外の日本庭園を散策。

 

こちらの日本庭園は、千利休、古田織部を経て“綺麗さび”の茶の湯を確立した大名茶人小堀遠州が手掛けたものです。池の周りを歩き、舟を浮かべて舟遊びなどをした池泉回遊式・舟遊式の庭園です。

 

 

見頃の桜を楽しむ

桜が見事な花を咲かせ、訪れる人々の目を楽しませてくれます。

 

春爛漫という言葉がぴったり。

 

 

茶道体験に挑戦

茶摘み体験・手もみ体験・抹茶挽き体験・茶道体験など、様々なお茶にまつわる体験コースの中から、今回は茶道体験を選択。小堀遠州が手がけた茶室を復元した建物『縦目楼(しょうもくろう)』の中の一室『臨水亭』にて、裏千家の先生のご指導のもと、抹茶を粉の状態から点てる体験をします。

*茶室玄関のチケット売り場(自動発券機)でのチケットの購入が必要です。料金は500円。

 

参加者は、私たち夫婦とご家族3人の、計2組。正座をすると、自然と背筋がまっすぐ伸びるような…。先生が、初心者にもわかりやすく説明してくださるので、茶道の経験が一度もなくても安心。

 

まずは、春の訪れを感じる和菓子『桜花饅頭』をいただきます。本来であれば、楊枝は使わず手で2つに割って口に運ぶという食べ方が主流なのだとか。桜を彷彿とさせるピンク色の餡はほんのり甘く、抹茶に合いそうです。

 

桜花饅頭のお皿は「志都呂(しとろ)焼」。大井川の西金谷の宿一帯は志戸呂郷と呼ばれており、そこで作られた焼き物であったことから、その地名をとって、「志戸呂焼」と名付けられたそうです。その歴史は古く、15世紀から続いているというから驚きです。渋みと深みのある、古式豊かな風情が伝わってきます。

 

饅頭を食べた後は、お待ちかねの、抹茶を点てる作業へ。

 

手首のスナップをきかせて前後に茶筅を動かし、泡立てます。先入観から硬いものと思い込んでいた茶筅が、何とも柔らかい使い心地であったことに驚きました。

先生の、流れるような所作にうっとり。

 

最後に円を描くように茶筅を器の中で一周させ…できました!濃い緑色の抹茶が、淡く優しい色合いの泡に変化しました。

 

抹茶をいただく際にも、きちんと作法があります。

まず、茶碗の正面でいただくことを避けるため、右手で時計回りに2度まわして静かに味わいながらいただきます。そして、最後のひとくちは、音をたてて吸いきります。飲み終わった後は、茶碗の飲み口を人差し指と親指で飲み口を軽く拭き、その指先を懐紙で清めます。 

なぜ、茶碗の正面でいただくことを避けるのだろう…と、ふと疑問に感じ調べてみたところ、茶碗の正面を客に向けてお出ししてくださった亭主に対し、茶碗を回す所作を通じて謙虚な心でいただくという姿勢を表現するという答えに辿り着きました。何回まわすかは重要ではなく、亭主の気持ちにどう感じ、どう応えるかが大事ということです。

なんとなく難しそうでとっつきにくいイメージのあった茶道ですが、先生のわかりやすい教えのおかげで、初めての体験にも関わらず、しっかり美味しい抹茶をいただくことができました。