柑橘系のフルーツがおいしくなってくるシーズン。お茶どころとして有名な静岡県ですが、実は全国屈指のみかんの産地でもあるんです。

中でも川根本町は、静岡で一番のゆずの生産地。収穫最盛期を迎えるゆずの産地・川根本町におじゃましてきました。

 

静岡一のゆずの産地は、SL走る大井川沿い。

川根本町は、「越すに越されぬ大井川」の中~上流域に位置するエリアです。

下流には世界一長い木造の橋『蓬莱橋』、上流には、最近インスタ映えする橋として注目を集めている『夢の吊橋』も。川沿いを走る大井川鐵道は、SLやトーマス号が鉄道ファンやちびっこたちに大人気です。

 

 

おいしいゆずの条件は、日当たりと寒暖差。

そんな見どころ満載の川根本町で、ゆずを栽培している渡辺清さんに、ゆず畑を案内していただきました。

ゆず生産者の渡辺清さん。

茶畑の一角で、渡辺さんがゆずの栽培を始めたのは5年ほど前のこと。山道をぐんぐん上っていった畑には、ゆずの木が輝くような黄色い実を付けています。

「お天気がよければ、向こうの山の間に富士山が見えるんですよ」

というほど見晴らしのいい場所。ときおり、SLの汽笛も風に乗って聞こえてきます。標高500600mのこの場所が、ゆずを育てるのに適しているのだそう。

 

渡辺さんの畑からの風景。

「お茶と同じで、水はけのいい土と日当たりのよさが、ゆずに合うんです。南向きの傾斜地だけど、暖か過ぎないのもいい。寒暖の差が大きいと果実が糖分をため込むので、甘みのあるゆずができます」(渡辺さん)

 

日の光をたっぷり浴びて実ったゆず。

 

 

ゆずが実るまでには5年も!今では静岡一の収穫量。

昭和50年代、川根本町のお茶農家さんたちが、お茶の農閑期にも出荷できる作物として、ゆずに着目したのが川根本町ゆずの始まり。

木を植えて実が収穫できるまで4、5年かかりますが、今では渡辺さんをはじめ8人の生産者さんたちが『ふじのくに川根本町ゆず協同組合』として、ゆずを手がけています。

総面積5ヘクタールの畑で採れるゆずは年間約50トン。静岡県で一番の収穫量を誇っています。

冬至ぐらいまでが、ゆず収穫のピーク。

 

 

おいしいゆずにはトゲがある?デリケートな果実の秘密。

ゆずの栽培でもっとも大変なのは?という質問に「トゲがあること」と渡辺さん。

「収穫するとき刺さると痛いし、トゲで実に傷がついてしまう」

風で枝が揺れるだけで、トゲが実を傷つけてしまうこともあるデリケートな作物。それだけに、収穫には細心の注意を払います。放っておくと木が上に伸び、収穫が大変になるので、枝を横へ伸ばすよう手入れをしたり、実を大きくするために間引きしたりと、作業は少なくありません。

デリケートなゆず。トゲで傷がつかないよう注意。

手間ひまかけて収穫した川根本町のゆずは、香り高くジューシーで、甘みと酸味のバランスもいい逸品。静岡県内の優れた農林水産品のみが選ばれる『しずおか食セレクション』にも認定されています。

また、東京の大田市場から全国各地に出荷されているほか、その品質のよさにほれ込み、「川根本町のゆずを使いたい」とゆずマーマレードを作っているお店も!

ゆずの旬は冬至頃までですが、9月上旬ぐらいの青いゆずも、柚子胡椒の原料として重宝されています。

 

 

まさにゆず尽くし!果汁も香りも楽しむメニュー。

旬のゆずをおいしく味わいたい!ゆずの絶品レシピを教えていただきました。

教えてくれたのは川根本町の山田さん。町内の女性たちで集まってアイデアを出し合い、バラエティー豊かなレシピを生み出しています。

今回、教えてもらったのは以下のメニュー。

・ゆず手毬寿司
・ゆず風味蒸しパン
・甘酒プリンゆず風味
・ゆず味噌
・ゆず風味浅漬け

皮から果汁まで、余すところなく使う、まさにゆず尽くしのラインナップ!

 

 

絶品ゆずレシピはこちら!“ゆず手毬寿司”

 かずあるメニューの中から “ゆず手毬寿司” をご紹介します。

 
ゆず手毬寿司(25~30個分)

材料
・ゆず2530個(上の部分を切ってスプーンなどで中身をくりぬく)
・米5合+黒米少し
・しいたけ、芋がら、れんこんなど(醤油やみりんで煮る)
・細切りにしたにんじん(ゆでておく)

 

【1】ゆずの搾り汁にお酢を合わせて5合分150㏄にする。砂糖125g、塩20gを合わせて寿司酢を作る。

【2】黒米を混ぜて炊いた米と【1】を合わせる。しいたけやにんじんなども混ぜる。

 

【3】中身をくりぬいたゆずに【2】をつめる

 

すぐに食べないなら、ラップで丸く握ってからゆずに詰めて。苦みが出ずにおいしくいただけます。リボンでラッピングしてもかわいいので、パーティーなどにもオススメ!

「ゆずをくりぬく時、白いワタはなるべくきれいに取り除くのがポイント。昔から作ってきたものを、私なりにアレンジして、今のレシピに落ち着きました」と山田さん。

黒米のプチプチモチモチした食感や、ゆず果汁たっぷりのさわやかな酸味があとを引く一品です。いくつでも食べられそう!

 蒸しパンミックスや甘酒のプリンにゆずパウダーを混ぜたり、市販の浅漬けの素にゆずの果汁や刻んだ皮を入れたり、ちょっと加えるだけで香りも彩りもぐんとアップするのが川根本町ゆずの魅力。旬のゆずが手に入ったら、一度お試しくださいね。

笑顔がステキな山田さんご一家。ありがとうございました!

 

 

静岡土産にぴったり!川根本町ゆずのオススメ商品

 ゆずは、晩秋から冬にかけて直売所などで出回ります。もっとたくさんの人に川根本町ゆずのおいしさを知ってもらいたい!と、川根本町ゆず協同組合では市場に出ないゆずも有効活用して、さまざまなゆず商品の開発にも力を入れています。

 

 ゆずの果汁や果肉を丸ごと活かした“ゆずジュース” 、今の季節なら鍋物にたっぷり使いたい“ゆずポン酢”、他にも“ゆず味噌”や“ゆず羊羹”も大人気。これからどんな新商品が登場するか、楽しみですね!

いずれも大井川鐵道各駅の売店や、川根本町の直売所、『食と遊びの三ツ星村』などで取り扱い中です。SLや夢の吊橋を楽しんだり、川根にある温泉を訪れた際のお土産にもぴったり。ぜひチェックしてみてくださいね。

こちらでもご紹介しています!
https://oi-river.com/places/1336