都内に住む旅好きの会社員hanakoです。ある日ツイッターを見ていたところ、『大井川で逢いましょう。』でモニターツアー参加者募集というツイートが目に入りました。
大井川には何があるのだろうとネットで調べてみると、綺麗なコバルトブルーの湖面にかかる吊橋という、夢の様な風景の写真がザクザクと。その名も『夢の吊橋』。そしてどうやらその吊橋に行くまでに、アンティークなSLにレトロな雰囲気たっぷりの列車と、ノスタルジックな気分を味わえる鉄道の旅ができるようです。
これはぜひ行ってみたい、そう思い応募したところ、幸運なことにモニターとして旅行ができることになりました!
SLの旅準備
旅は金谷駅からスタートです。まずは金谷駅から、ブリキ缶の様なレトロ感が可愛い大井川鐵道に乗り、SLの出発駅『新金谷駅』へ向かいます。この日はあいにく、朝から雨が降り続いていました。
新金谷駅に着いたら、駅弁を買いに向かいのプラザロコへ向かいます。ここには駅弁やお土産のショップが入っていて、食べ物系のお土産だけでなく、マスキングテープや文房具といった可愛いグッズまで豊富に揃っていました。
今から思えば、ここでお土産を買っておけばよかった。荷物になるのでお土産は2日目に買おうと思っていたところ、結局お土産屋さんが見つけられず買いそびれてしまいました。
プラザロコにはショップの他にも古いSLや駅舎の展示があり、中に入って写真も撮れるようになっています。
お弁当を選んだり写真を撮ったりしていると40分ほどあった待ち時間もあっという間に過ぎ、SLの改札が始まったというアナウンスが流れたので、急いで駅のホームへ。
木製のアンティークなSLで、大井川と時間を遡る
ホームには既に、黒い煙を吐くSLが到着していました。
初めてのSLに、わくわくしながら乗り込むと―
一歩入ったとたんに、時間まで飛び越えてしまったような光景が広がっていました。この客車は、昭和10年代から20年代にかけて活躍した形式のものだそう。レトロアンティークな雰囲気いっぱいで、映画や物語の世界に入りこんでしまったかのようです。
ここから1時間程、SLでゆっくりと旅をしていきます。
時折車掌さんによるアナウンスが入り、車窓からの見どころやSLの解説をしてくれるので、それを聴きつつ、のんびりと車窓の景色でも眺めつつ、先ほど買ったお弁当でも食べましょう。
せっかくなので昔ながらの雰囲気のある、笹の葉で包まれたようなおにぎりのお弁当にしてみました。この他に幕の内弁当などもありましたよ。
ほどなくして車掌さんがハーモニカを吹きながら登場し、ノリの良いお客さん達と共に“春が来た”などの曲を大合唱。懐かしい音色と木製の客車、車窓の向こうのノスタルジックな雨の風景、一体自分がいつの時代にいるのか、わからなくなりそうに。
ずっと乗っていたいぐらい、ムードたっぷりのとても素敵な時間を過ごしました。
大正浪漫な宿「翠紅苑」にチェックイン
さて、SLを降りたら路線バスに乗り換え、まずは本日の宿「翠紅苑」に向かいます。
雨で煙ってしまい、車窓から景色は全く見えず。バスを降りたら急ぎ足で宿にチェックイン。
(上の2枚の写真は雨の上がった2日目に撮ったものです)
大変でしたね、とタオル差し出してくれる宿の方の心づかいがありがたく。
温かなお部屋で、暖かなお茶を飲んで、ホッと一息。
さすが静岡、お茶が美味しいです。
さて、これから夢の吊橋にいく予定だったのですが、雨が降ると水が茶色く濁ってしまってコバルトブルーの湖面は見られないと聞いていたので、この雨の中を行くべきかどうか迷いました。しかしせっかくここまで来たのだから、少しだけでも見てみたい気もします。
宿の方にきいてみると、「雨だと危なくて渡れないということはないけれど、行くまでの道や階段が滑りやすくなっているのでお気をつけて」とのこと。用意してきたカッパを着て、行ってみることにしました。
雨の中、夢の吊橋へ
宿から夢の吊橋へは、徒歩数十分程で行けます。途中ちょっとしたお土産屋さんやつまみ食いできそうなお店などもありましたが、この雨なので閉まっている様子。
ピーク時には行列もできるという夢の吊橋ですが、今日は最初の頃に1組すれ違っただけで、私たちの他には誰もいません。
20分程とぼとぼと歩いていると、見えてきました!
見事に湖面は茶色です。これではとても良い夢は見られなそうですが、それでも吊橋を見た瞬間に、雨でびしょぬれになって下がっていた気分もアップ。これは揺れそう!これは楽しそう!
ベストシーズンは写真を撮るのも一苦労だという夢の吊橋を、私たちだけで独占状態です。では早速渡ります!
歩くたびに揺れる吊橋。歩く所の幅は木の板2本分ほどしかなく、その横から透けて見える湖面がスリル満点です。万が一物を落としたら拾えないので、カメラなどは首から下げて行った方が安全ですね。
吊橋は基本的には一方通行なのですが、空いている時は往復してもよい、ということで ―
逆側からもう一度。帰りは周りをじっくり見たり、揺れを楽しんだりする余裕も出てきます。雨に打たれた疲れも吹き飛ぶ満足感。晴れなら晴れの、雨なら雨の夢の吊橋の楽しみ方がありますね。
翠紅苑で寛ぎタイム
さて、宿に戻ってきたのが16時ほど。あとは温泉に入ったりして、ゆっくりと休みます。この翠紅苑もまた、大正時代にタイムスリップしたかのような宿でした。
赤と黒の色調が素敵なロビーには、囲炉裏のテーブル。
廊下にはステンドグラス。
大正浪漫なムードの漂う素敵な宿で、散策して回るのも楽しい。
大浴場の温泉はトロっとしたお湯で、「美女づくりの湯」とも言われているのだとか。
私を美女に作りかえてください、という願いを込めて、夕食前と後の2回入りました。
さて、お次は楽しみにしていた夕食です。
メニューは地元でとれた食材を中心としたもの。席に着くと運ばれてきたのは川魚にお刺身。
そしてメインのジビエ!
たしかイノシシだったと思いますが、もしかしたら鹿の肉だったかもしれません。説明を聞いたものの普段食べられないジビエに“わ~!”と舞い上がってしまって、すっかり頭から抜けてしまいました。肉の味が濃くて、ほのかにユズの香りもしてとても美味しかった。
夕食の後は再び温泉に入り、部屋で焚かれた茶香炉の茶葉の香りに包まれながら就寝。
千頭駅を散策
2日目は、朝食を食べた後すぐにチェックアウト。
今日は1日かけて、大井川鐡道井川線を満喫する日です。
宿のすぐ上にあるバス停から路線バスにのって千頭駅へ向かい、コインロッカーに荷物をあずけます。列車の時間までは1時間近くあるので、しばし駅周辺を散策。
この赤いトロッコの様な小さな可愛い列車が、大井川鐡道井川線です。
千頭駅構内もどこかノスタルジックな雰囲気が漂う、可愛い駅。水色の木のベンチに赤いトロッコ列車が良く映えます。
列車がホームに入ってきたので、一番乗り。
駅の方に「左側の座先の方が景色が良く見えるんですよ」と教えてもらったので、最前列の右側へ。運転手さんの手元も良く見える特等席です。
南アルプスあぷとライン、出発
その後続々とお客さんが乗り込んできて、いざ出発!
小さくてレトロな車内。
のどかな風景を見ながら、川沿いを上っていきます。
途中の「アプトいちしろ」という駅で、アプトいちしろ駅でアプト式機関車を連結します。作業を見学することができる、という社内放送が流れると、皆一斉に後方へ。
連結したアプト式機関車に押し上げてもらいながら、この急勾配をえっちらおっちら登っていきます。
アプト式はこの1駅分の区間のみ。次の駅では取りはずされてお役目終了。
その後ももう少し列車を楽しみます。川の水はまだ濁っていますが、昨日よりはエメラルドグリーンに近くなっていました。車窓から見える風景は山と川で、人家はほとんどなく、あたりはちょっとした秘境の様な雰囲気。
湖に浮かんでいるかのような奥大井湖上駅
さて、千頭駅から1時間ちょっとで奥大井湖上駅に到着。この駅は、湖上に浮かぶ島にあるように見える名物駅です。全体図は後で載せるとして、まずは「湖上」から「陸上」に上がらねばなりません。
無人駅なので特に改札もなく、駅から対岸へ伸びる「レインボーブリッジ」と名付けられた鉄橋を歩いて陸上へ。線路の真横に歩道があって大迫力です。
渡り切った対岸側から見るとこんな感じ。真ん中に突き出た半島のようなところが駅です。
もっと良く見えるところに行くため、長い急な階段を上っていきます。
そして急な山道をさらに昇って行くと
やっと展望スポットへ。こんな感じでまるで湖の真ん中に駅があるような、珍しい風景が見られるのです。
かなり山を登ったので、駅が豆粒のように小さく見えます。駅の後ろにある建物は休憩棟で、展望テラスやトイレなどがありました。
ここで待つこと数十分、ミニチュアみたいに小さく見える電車がトコトコとやってきました!
駅に止まって
去っていく。
最終目的地 接岨峡温泉会館へ
その後は展望スポットから程近くにあるバス停からバスにのって、本日の最終目的地、接岨峡温泉会館へ向かいます。
時刻は1時。温泉に入る前に、まずは昼食をとることに。
ここでは事前予約をすればダムカレーが食べられるとこのことでしたが、調べたところかなりのボリュームで女性では食べきれなそうだったので、私は天ぷらそばにしました。
お腹も満たされたので、山歩きで疲れた足をいやすべく温泉へ。タオルを持ってくるのを忘れてしまったのですが、小さなタオルを売店で買うことができました。
ここのお湯もちょっととろみのある炭酸泉で、気持ちがいいです。「若返りの湯」ともいわれているそうで、若返らせてくださいという願いを込めてじっくり浸かっていました。
お風呂上がりはコーヒーを一杯。1泊2日の旅も終了が近づいてきました。さて、時間になったので、歩いて接岨峡温泉駅へ。
最後に乗る井川線が、トンネルの向こうからやってきました。
これにて大井川をめぐるレトロな鉄道旅は終了です。
旅の感想
これまで列車の旅というと、新幹線であっという間に移動するようなものばかりしてきました。でも今回、大井川でこんな風にレトロでノスタルジックなムード溢れる列車に乗り、車窓から見える少し人里から隔絶されたような風景を眺めていると、列車に乗る事を目的に旅をする人たちの気持ちが分かった気がします。列車に乗ってどこに行くというより、このままずっと乗っていたくなりました。
特に昭和初期にタイムスリップしたかのようなSLが、予想していた以上にずっとずっと素敵で。もう一度乗りに行きたい、そしてこの次こそはコバルトブルーの湖面にかかった夢の吊橋を渡れるよう、リベンジしに大井川に旅行に行きたいです。