こんにちは、『大井川で逢いましょう。』制作担当のサンゴです。

早速ですが、大井川鐵道の『南アルプスあぷとライン』、みなさん乗ったことありますか?

正式には『大井川鐵道井川線』といって、静岡県の北部、川根本町の千頭駅から静岡市葵区の井川までを走る山岳鉄道です。

詳しくはこちらの大井川鐵道さんのサイトでご覧いただきたいのですが、日本一高い鉄道橋があったり、日本一勾配が急な区間を走ったり、そもそも日本でここにしかない仕組みの機関車が運行されていたり、実はSLと並ぶ大井川観光の目玉なんですよ。

そんなあぷとラインで一番人気なのが、こちらの奥大井湖上駅の絶景。この眺めを求めて訪れる人が増えていて、途中下車してこんな写真を撮るのが“あぷとライン観光”の定番になってきています。

が、この眺めだけが『南アルプスあぷとライン』ではありません

あぷとラインが走るのは、南アルプスユネスコエコパークにも認定された日本でも有数の、貴重な自然が残るエリア。アルプスの険しい峡谷の間を縫うように走る小さなアプト列車…乗れば非日常、これぞ旅!な時空間を味わえるのです(と私は思います!)。

たとえば、終点近くなると、列車はこんなところを走ってるんです↓

この写真は終点井川駅の手前にある『関の沢橋梁』をアプト列車が渡っているところ。赤い列車がわかりますか?この関の沢橋梁は水面からの高さが国内で一番高い鉄道橋なんですよ。

ネ、みなさんぜひ一度は『南アルプスあぷとライン』に終点まで乗ってみてください!!

 

ただ…

終点まで(全長25.5kmを約110分かけて走る、絶景のんびり鉄道旅をお楽しみいただけます。)乗ったその先に何があるのか?

『南アルプスあぷとライン』そのものが珍しいので、始発の千頭駅から井川駅まで乗ってそのまま次の列車で折り返してしまう人も多いようです。でもせっかく何時間もかけて大井川の山奥まで来て、なにもせずに帰るなんてもったいない!!

ハイ、そこで今回ご紹介するのが、アプト列車でハイキング♪終点・井川の歩き方です。

井川名物のカレーを目指しながら、3〜4時間で井川駅周辺の見どころをめぐるプチハイキングはいかがでしょうか?のんびりした旅が好きな方、田舎を歩くのが好きな方、ぜひ続きを読んでくださいネ。では参りましょう〜。

 

旅の行程と井川の地図

まず旅の概要をご紹介しておきます。あぷとラインの終点・井川。つまりどこかというと…

ココです↓。

Google map

大井川流域というと、静岡県の川根本町と島田市が大部分を占めますが、一番の上流域は静岡市になります。井川駅の標高は686m。静岡県の鉄道駅で一番高いところにあるそうです。

始発の千頭駅から井川駅までは、アプト列車で約2時間。実は車だと40分くらいで着いちゃうんですけどネ…。
いえいえ、アプト列車でハイキング♪ですから。それが楽しいんですから。車窓の景色をゆったり眺めながら井川へ向かいましょう。

オススメの列車は

千頭駅 9:12発

井川駅 10:59着

帰りは

井川駅 14:49発

千頭駅 16:34着

千頭駅着の列車には大井川本線の16:51発の金谷行き普通電車が接続しているので、これに乗れば18時すぎにはJR東海道線に乗ることができます(時刻に関しては大井川鐵道の時刻表で確認してくださいね)。早起きして出掛けましょう!

そしてこちらが、今回ご紹介するルート概要。

それでは行ってみましょ〜。

 

井川駅からスタート。早速不思議なタヌキを発見…

10:59、井川駅に到着しました。木造の小さな駅で雰囲気ありますよ。

ところで駅構内には、というかあぷとライン沿線には信楽焼のタヌキがたくさんいる(住んでいる)のですが、井川駅にはこんなタヌキも…!四つん這いのタヌキの置物を見たのは初めてです!!!

見つけてみてください。

 

井川ダムでダムカードを手に入れよう

駅から下り道を歩いて約5分。目の前に広がるのが井川ダムと井川湖』です。(ちょっと干上がってますがご了承ください。水が少ない春先の取材だったので…)

昭和32年に完成した日本発の“中空重力式コンクリ-トダム”で、100mあまりの落差を利用して水力発電をしているそうです。
詳しく知りたい方は、ダムのすぐ脇にある中部電力井川展示館をのぞいてみてください。井川ダムに来た記念として、“井川ダムカード”をもらうことができます。(※展示館でじっくり展示を見たい方は、時間配分に要注意です。この先ちょっと歩きますよ〜)

ここでポイント。実は『南アルプスあぷとライン』は、もともとこの井川ダムの建設用資材を運ぶために作られた鉄道なんです。その歴史をたどるように歩くことができるのが、この先の井川湖に沿って延びる廃線跡、その名も『廃線小路(こみち)』。
井川ダム湖を右手に見ながら、小路の入り口へ向かいます。

あ、サプライズ!途中でニホンカモシカを見ることができました!

天然記念物なんですよね、さすが南アルプスユネスコエコパーク。

 

昔の線路跡を歩く

さて井川展示館の裏手に延びる『廃線小路』。実は昔は井川駅の先にも線路が続いていて、廃線小路を歩くと昔の“堂平駅”跡まで歩くことができます。

線路をたどって、約30分の道のり。

トンネルの跡があったり

枕木が足の裏によさそうな…。

ちなみに今回の取材は3月末だったのでちょっと枯葉が目立ちますが、初夏にはこのとおり爽やかな景色↓。

夏のお出かけにいかがでしょうか?

そんなこんなで、廃線小路の終わりまで来ると、道が二手に分かれます。時刻はちょうどお昼時…。いよいよハイキングのお目当て、井川の名物カレーを目指して『アルプスの里』へ向かいます。

 

井川名物・井川ダムカレーで満腹♪

堂平駅跡から約15分。到着したのは井川農林産物加工センター『アルプスの里』。地場産品が並ぶほか、手打ち蕎麦や山菜天ぷらなど、地元井川のおばちゃんの手作りごはんを食べることができます。

山菜の天ぷら蕎麦も捨てがたい、が!今回はこれ!井川ダムカレー。

カレールーに井川産のニンニクが利いていて、まろやかさとピリッとさわやかな辛みが一緒に味わえる…これはおいしいと思いますよ。付け合わせの野菜もほとんど地元産でみずみずしくて、オマケのお漬け物もとってもおいしいんです!

井川のこともお店のおばちゃんに気軽に聞いてみてね。

お土産もここでチェックしましょうね。ちなみに井川茶はかなりオススメ。水や空気が違うのか、大井川中流域の川根茶とはまたひと味違う透明感があります。と、私は思いましたがどうでしょうか?ぜひみなさんにも飲んでみて欲しいです。

アルプスの里
静岡県静岡市葵区井川2765-1(Google map
TEL 054-260-2573
定休日は月曜日と年末年始

さて、おなかもいっぱい、ひと息ついたら、次は『井川大仏』を目指します。

ここまででだいたい午後1時前だと思います。後の行程も考えると、1時にはアルプスの里を出発しておくといいですよ。トイレと飲み物購入もここで済ませておきましょう。

 

山の中に大仏様。健康と美しい歯を願って…

アルプスの里から車道を歩き、右手に折れて『夢の吊橋』へ。

ン?『夢の吊橋』?

と思ったあなたは大井川通。そう、絶景で大人気の寸又峡『夢の吊橋』と同じ名前の橋が、井川にもあるのです。

↓これが寸又峡の『夢の吊橋』

↓そしてこちらが今回渡った、井川の『夢の吊橋』

ちょうどダム湖の水が少ない時期で眺めは…イマイチでしたが、ちょっとしたジャングル気分です。マイナスイオンだけは最高に吸収できます。少々急な箇所もありますが、歩くの好きな方はぜひ。

で、夢の吊橋を渡って再び車道に出ると、『井川大仏』への案内があるので、その方向へ進みます。

その先、階段をしばらく登ると…

ジャジャーン。山の中に白亜の大仏様が!

白くて眩しい…!ね、大きいんですよ。両手を合わせてお参りを。

約40年前に地元の歯医者さんが建立したこの『井川大仏』、歯に御利益があるとのこと。大仏様のように、白くて健康な歯になりますように…。

 

帰り道はひと踏ん張り。井川駅にゴール!

結構歩きました〜(万歩計とか持ってたら面白そうです)。帰りは電車の時間(14:49)に間に合うように、歩きやすい車道を通って井川駅へ戻りましょう。井川大仏から駅までは、だいたい50分くらいです。

駅に着いてもし電車まで時間があれば、冒頭でもご紹介した井川ダムの井川展示館でダムの仕組みや歴史について詳しく見てみるのもいいですね。2階には眺めのいい休憩スペースもありますよ。

 

夏には渡船にも乗ってみたい!

とまあ、こんな感じの南アルプスあぷとライン終点・井川のハイキング、いかがでしょうか?健脚向きかな…。歩きやすい靴で出掛けてくださいね。風の音や小鳥のさえずりを聞きながら汗を流して、かなりリラックスできると思います。
(万が一14:49の電車を逃してしまった方は、駅でうとうとしながら次の15:54発を待ちましょう♪)

そして、オマケ情報。
今回は取材が春先ということで、ダム湖の水位が低くて乗ることができなかったんですが…井川に来たらコレ!

『井川渡船』にもぜひ乗ってみて欲しいです。

井川ダムの井川展示館の脇の乗り場と井川の町の中心部をつなぐ航路のほか、井川湖を周遊して南アルプスを眺める観光航路もあるんです。運行時期はこちらの静岡市のサイトで確認するか、船の待合所に電話で聞いてみてください。

これは去年乗った時の写真。6月でした。気持ちよかったな〜〜〜〜〜。

乗船記念のバッジももらえましたよ。

夏はもちろん、紅葉の時期がそれはもう絶景だそうです。いや〜行ってみたい…!ぜひ井川渡船にも乗ってみてくださいね。

 

アプト列車でハイキング♪はまだまだ続きます

はい、井川ハイキングの紹介はとりあえずここまで。井川の町の中心部には行きませんでしたが、みなさんもぜひアレンジして、『南アルプスあぷとライン』終点からはじまるローカル旅をお楽しみください。お出かけ先のひとつに、あぷとラインの終点・井川を加えてもらえたらうれしいです。

『南アルプスあぷとライン』途中下車の楽しみ方はまだまだありそうです。またご紹介しますね。乞うご期待!!