こんにちは。ライターのゆかです。
大井川流域の逸品と、それに携わる人々の楽しい物語を皆様にお伝えします。

今回ご紹介するのは、川根の老舗茶屋が経営する、お茶を中心にスイーツから雑貨まで楽しめるカフェです。
それではさっそく行ってみましょう!



“茶処・川根”のお茶を味わえる数少ないカフェ

島田市街から県道64号線を大井川沿いに北へ向かい、川根地区に入って最初に出会うお茶屋さんが『朝日園 茶房“遊”』さんです。

 

「こんにちはー。」

出迎えてくれた色白美人の女性、この方が『茶房“遊”』の店長、朝比奈美紀さんです。

 

「いらっしゃいませ。まずはお茶をどうぞー」

さっそく、ご自慢の川根茶を出していただきました。

『茶房“遊”』は川根の老舗茶屋『朝日園』が経営しているカフェです。お茶は島田市内各地で作られていますが、山間に位置する川根も昔からお茶の栽培がとても盛んな地域です。大井川から立ち上る霧と朝晩の寒暖差の大きい気候によって、川根独特のおいしいお茶が育つ地域なのです。

川根でお茶を販売するお店は多い中、お茶を味わう場がないことに気づいた『茶房“遊”』の先代の店長(現・朝日園会長)。おいしいお茶をゆったり味わえるお店を、と開いたのがこちらのカフェだそうです。


お茶とともに時間と空間で“遊”ぶ場に

店名の“遊”は、『お茶を遊ぶ、時間を遊ぶ』という想いを込めてつけられたそうです。

カフェメニューやお土産にぴったりなお菓子などは『茶房“遊”』に来ないと味わえない川根にこだわったものばかりで、川根に遊びに来た!と感じさせてくれます。店内の雑貨もセンスが光る品揃えで、つい時間を忘れて見入ってしまいます。

お茶をいただきながら店内を見回すと、お茶屋さんなのに、食器などの雑貨がたくさん並んでいます。どれも色とりどりで、ついじっくりと見たくなってしまいます!

お茶だけでなく、雑貨も販売しているのはどうしてなのか、美紀さんに伺ってみました。

「たとえばね、お茶を買いにご家族皆さんで来てくださることってよくあるのね。お茶を選んでいる間お子さんとか退屈しちゃうじゃない。お茶以外のものもあると、どの世代の方でもお店で楽しい時間を過ごせると思ったのね。」

なるほど、お茶だけにこだわらずに、『茶房“遊”』に来たら、どなたでも楽しんでもらいたいという想いがあるのですね。

 

外に出れば、自然豊かな景色ときれいな芝生の庭があり、テラス席でゆったりお茶を楽しんだり、一緒に来た子どもや犬も楽しく走り回れて遊べます。

確かに店名の通り、お茶を囲んで“遊”ぶ場になっていますね!

 

店内の雑貨は、見た目と質の良さが光るものばかり

ところで店内の雑貨の中で、ひときわ存在感をアピールしていた“白山陶器”に私は目を奪われました。“白山陶器”は波佐見焼で有名な長崎県波佐見町にある陶磁器のメーカーです。

この陶器の為に陳列スペースが設けられているように感じたので、美紀さんがとても気に入っているのかな?この少し浅めのお茶碗、おしゃれなデザインですが実際どんな使い方をするといいのかを聞いてみました。

「ご飯を盛ってももちろんいいし、おかずも和洋どちらでも合うしね。スイーツやフルーツも合うのよ。なんでもきれいに盛れるところが好きなの。」

なるほど。実際にご自宅で愛用されているほどだそうで、その使い心地の良さをいろいろと教えていただきました。

店内の品1つ1つを選定している美紀さん。どれも茶房遊オリジナル商品や、ここでしか買えないレアものばかりです。
私はそんな『アイデアとセンスある美紀さん』にとても興味がわいてきました。

 

日本茶のお店でなぜチャイを販売?!川根茶チャイの誕生秘話!

美紀さんは神奈川県出身。もともとお茶が好きで、学校に通って中国茶について学んだほど。子どものころから自分でハーブティをブレンドして飲んだり、かき氷シロップの人工着色料が気になってかき氷が苦手だったとか。体に優しいものを選ぶ方なのですね。

ご主人とご結婚されて『朝日園』に嫁いできました。こちらのカフェを任されることになった時に、まず最初に作りたかったのが“チャイ”だったそう。

「おいしいチャイが飲めるお店がこの辺には無かったので、自分で作っちゃおうと思ってね。」

 

“川根紅茶”ならおいしいチャイが作れる!と思ったけれど…

『朝日園』ですでに販売されていた“川根紅茶”をベースに、美紀さんご自身でスパイスをブレンドしてチャイを完成させました。でも発売するまでには苦労も…

「“川根紅茶”は、ストレートで飲むとおいしい、とお客さんにはお勧めしているのね。それにミルクを入れるとかスパイスを入れるなんて、ってお店のスタッフみんなに反対されたのね。」

“川根紅茶”は、樹齢500年の川根茶の木で作られた、ほんのりと茶葉の甘味を感じるすっきりとした味わいです。

その紅茶でチャイを作れば絶対おいしいだろうと思った美紀さん。その後も試行錯誤し、おいしいと言ってくれるスタッフも現れ、思い切って販売してみたら…

「これがかなり売れてね!遠方からの注文も多いし、わざわざ市外からもここのチャイが一番おいしいって飲みに来てくれるほどなのよ。」

 

人気のカフェメニュー、川根茶シフォンケーキと川根紅茶チャイのセット。どちらもお土産として買うこともできます。

 

川根の外から嫁いできた何の実績もない自分の発案を、『朝日園』スタッフのみなさんが真剣に検討し、認めてくれたことに美紀さんはとても感謝していると仰っていました。

『朝日園』と美紀さんとの信頼関係が、チャイを通じて強くなったのですね。素敵な関係です。

 

“好きなもの=みんなも楽しめるもの囲まれて仕事ができる幸せ

“川根紅茶チャイ”や“白山陶器”など、店内すべての品々に共通していると感じたのは『見た目の美しさと質の良さ』が備わっているということ。それは美紀さんの「みんなが楽しめるお店にしたい」という先代から受け継いだ想いがこもっているからだと思いました。『みんな』とは、お客様、スタッフ、生産者さん、もちろん美紀さんご自身も。商品にかかわるどの人も、です。

「どれも私が好きなものばかりだけど、みんなもいいねって言ってくれる。好きなものに囲まれて仕事ができるなんて、ホント幸せなことだなって思うの。」

美紀さんの笑顔から、その気持ちがとてもよく伝わってきました。

 

仕事には真面目で一生懸命な美紀さんですが、最後は
「チャイを頼むときは、『川根紅茶チャイくだチャイ』と注文してね!」と(笑)。言いにくくて笑っちゃうから、わざと言いにくいネーミングを付けているとのこと。確かに場が和みますよね。

そんなお茶目な店長・美紀さんのいる『茶房“遊”』へ、ここでしか味わえない“川根紅茶チャイ”を飲みに行ってみてくだチャイ!(笑)

 

朝日園 茶房“遊”

住所:島田市川根身成4693
営業時間:10:00~18:00
駐車場:25台あり
TEL:0547-53-4058