こんにちは。Asubi planningライターのゆかです。
大井川流域の逸品と、それに携わる人々の楽しい物語を皆様におつたえします!!

今回ご紹介するのは、島田市内、いや、静岡県内でも大変珍しい、りんご園です。おいしさと安全さとひろみちゃんの人柄で今ではとても人気の観光農園。さっそく行ってみましょう!

 

なんで?こんなところにりんご園が?!新東名I.Cのすぐ隣。

新東名島田金谷インターから車で5分。大井川鐡道五和駅からも車で3分ほどのところ、田畑が広がる中、細い道を入ったところに『ひろみちゃんのりんご園』があります。

出向かえてくれたのが、園の名前でもある『ひろみちゃん』こと、永井弘美さん。

「まずは試食してみて!」

カットされたりんごが出てきました。
では、来て早々ですが、さっそくいただきます!

今日の試食のりんごは「つがる」
甘味はもちろん程よくあり、酸味もすこしあってとってもおいしい!

こちらのりんご園は入園料が無料!りんごを狩った分だけ購入するシステム。
なので、その前にりんごの味見をさせてくれて、そのりんごを好きなだけ、購入したい分だけ自分で狩って楽しむことできるんです。

「それじゃ、さっそくりんご園に行きましょう」

と、ご自慢のりんご園に案内してくれました。

「見て見て!これがね、紅玉。かわいいでしょ~!! 」

名前の通り、赤より紅、という字がぴったりな、鮮やかな紅玉。少し小ぶりで酸味もあり、デザートなどに使われることも多い品種だそうです。

この日は秋の始まり「白露」の前日で、りんごが収穫されていく時期に突入です。

紅玉のほかにもいろんな種類のりんごを紹介してもらいました。

・7月下旬…シナノレッド

・8月中旬…つがる

・9月9日…あかぎ、秋映、紅玉、シナノゴールド

・10月7日…ぐんま名月、陽光

・11月3日…ふじ

「この子たち、かわいいでしょ~!ねーみんな写真撮って貰って〜」とりんごに話しかけるひろみさん。

 

安心安全なりんごだから、皮ごと食べてほしい

「大自然相手にやっているからね、こうやって虫に食われたり、病気になるものもあるんだよね。」

確かに実の部分が茶色く変色したりんごが多数ある木も。

その年によって気温や雨量などが違い、同じように育てられる年は一度も無いといいます。
また、この辺では鳥やタヌキなども現れて、りんごを食べられてしまうことも。

被害額が大きくてがっかりもするけれど、ひろみさんは逆にうれしくも感じたそうで。
よく見ると食べかすはきれいに芯だけしか残っていなかったので、それだけおいしかったって証拠ですからね。

これは鳥に食べられてしまった跡。残念だけどおいしいから食べられちゃった。

低農薬であったり身体に安全なものを使って、丁寧に育てられているりんご。
ひろみさんの一番のこだわりは、みなさんに安心安全なりんごを皮ごと食べてもらいたい!ということ。
安心安全だけじゃなく、我が子のようにかわいがって育てているのだから、おいしいわけですよね!

「新鮮なりんごはやっぱり味が違うよ!ここで手を洗うついでにりんごも洗って皮ごとガブっと食べてほしいな。あ、もちろん買ってからね。」

そう、量り売りのシステムなので、取ってそのままその場で食べることはできないのですが、購入してから敷地内で食べる事が出来ます。

ということで、いよいよりんご狩りを体験です!
今日は先ほど試食した「つがる」という品種のりんごを収穫します。

「こうやって、おしりを上に向けるようにすると、簡単に取れるのよ」

ほんとだ!簡単にぽろっと取れました!
これだけ簡単に取れるということは…

「そうなの、だから園内では木に当たらないように歩いてほしいのね。軽くぶつかっただけでりんごが落ちてしまうのよ。落ちたりんごはもうだめね、加工するしかないの。」

園内ではぜひ、かわいいりんごたちを優しく愛でながら、落ち着いて狩りましょうね。

さっそく食べたい!!
その前に重さを量って、購入してから、ですね。

りんごは1kg650円。(ぐんま名月のみ700円)
だいたい4~5個くらいで1kgになります。

それではさっそく、いただきまーす!
皮ごと食べるなんて久しぶり。ガブっとかじると、皮がパリッとしていて、りんごの新鮮な歯ごたえが心地よく、果汁も溢れてとってもおいしい!!

初めに試食したりんごもおいしかったけれど、やっぱり新鮮な方が断然おいしい!
これはここに来ないと味わえないものですよね。
あっという間に1個を完食しちゃいました。

よく笑って、りんごと同じくかわいいひろみさん

 

お父さんの植えたりんごがまずかった?!

今でこそ、おいしいりんごの観光農園として成功していますが、そもそもなぜ寒い地域で栽培が盛んなりんごをこの暖かい 茶処 静岡の地で育てようと思ったのでしょうか。

実は、以前はみかんとお茶とお米を栽培していたそうですが、みかんの価格の大暴落があってから、みかん栽培は手放したそう。

お茶とお米を育てながら、それらと繁忙期がずれるりんごは育てられるだろうと思い、やってみたら、涼しい地域とは違って、繁忙期が他の農作物とかぶってしまったり…思い通りにいかない…。ということで、他もスパッとやめて、今から約15年前からりんご一本でやっていくことを決め、以来りんご農園 ひとすじ。

でもここは静岡、お茶ならまだしも…りんごって…誰も教えてくれるわけでもなく、独学で失敗も繰り返し…、それでもあきらめず、やると決めたら周りの声も聞こえないくらい突き進んで、ここまで来たのだそう。

ひろみちゃんの想いは続く…

幼いころ父親が植えたりんごがあったけれど、味がまずくて…だからか父親もスパッと木を切って辞めてしまったのだそう。リベンジじゃないですが、自分はおいしいものを作ってみたいとずっと思っていたことがきっかけだそうです。
その決断力の速さはお父さんゆずりなのかもしれませんね。

 

大井川流域の土地がはぐくむ果樹のおいしさ

ひろみさんが手塩をかけて育てたりんごだからおいしいのは当然なのですが、さらにその秘密もきいたところ、もともとこの地区は大井川だったので土の水はけがとても良く肥沃で、お米がとてもおいしい。島田市金谷のこの地域でとれる“五和(ごか)米”は、近くの酒屋『中屋酒店』のオリジナル日本酒“かなや日和”の原料になっているほど。

その土壌は果樹を作るのにもとても適しているため、梨も柿も甘くなるそうです。

 

お客さんの「おいしい!」の一言がききたくて。

これからも現状維持で、と語るひろみさん。

「もうお金なんてそうはいらないのよ。何より、食べてくれたお客さんの『おいしい!』その一言のためにやっているようなものなの。」

今ではネットで検索して、新東名島田金谷インターからすぐ近いこともあり、ふらっと寄ってくれる人も多いそう。お土産に買った人からおすそ分けしてもらった人が、おいしかったからと今度は来てくれる。そんな流れで今では遠くから毎年来てくれる人も多いといいます。

「この、“ぐんま名月”をめがけてくるのよ。これがとっても人気!」

収穫時期が来ると、これ欲しさにお客さんが殺到してあっという間に終わってしまうそう。
もう実が無くなってしまっても、まだあるんじゃないかとお客さんが園を覗きに来ることも!
それほど人気なので、気になる方は収穫時期を要チェックです!

取材日はまだ食べられなかった“ぐんま名月”。是非食べてみたい!

今後のことは現状維持、なんて言っていましたが、今ではお嫁に行った娘さんたちにも園内の作業を手伝ってもらい、さらには新しい品種の栽培もおこなっていました。

弘前大学から提供された接ぎ木してある木がありました。

「中が赤いりんごができるっていうんだけど、これがここでおいしくできるかは、やってみないとわからないわね。」

やってみないとわからない、というチャレンジ精神が旺盛で、今後もまだまだやりたいことがたくさんあるんじゃないのかな?と思いました。

テープで巻いてある左側の細い枝が接ぎ木されたもの。もう元木とつながり育っていて、来年には実がなる予定。

 

いつも笑顔の秘訣は、やはり食べもの

ひろみさんは初めに出迎えてくれた時から本当に笑顔が印象的な方。
それによく見ると、肌に艶があって色も白いんです。農作業をしているとは思えない美しい肌をされています。同じ女性として、その秘訣、とっても気になりますよね!! 思わず聞いてしまいました。

「やっぱりね、食べものが身体を作ると思うのよ、今までの経験からね。」

この農園に全力を注げるのは、家族、とくにお母さんの力が大きかったそうです。90歳になるお母さんが今でも野菜を作ってくれているので、それを食べているから身体も健康でいられて、結果笑顔で仕事ができているとのこと。

また、その安心な野菜とりんごを使って”酵素”を手作りして食べ続けているので、それがいいのかも?と教えてくれました。これは気になる情報ですね!

容器に入ったものが手作り酵素。その時々に取れる野菜によって材料は変わるそう。

これを毎日、煮詰めたりんごとヨーグルトと一緒に食べているそうです。
ちょうどその場に居合わせた娘さんが、「母は私よりも長い時間外で作業しているのに、私よりも肌が白くてきれいなの。悔しくてね。きっとこの酵素がその秘密だと思うの。」と。

いやいや、娘さんもかなりの美人さんできれいなお肌をされていますよ。この地区に住む女性はみんな美しいのかな?

りんご園に行った際は是非お肌の秘密を聞いてみてくださいね。
(運が良ければ、お話しできます。普段は畑仕事で忙しくされています)

気候に左右され、病気や害虫、時には動物にも狙われるような苦労があっても、
安心安全でおいしいりんご作りにこだわるのは、やはり「食べ物が身体を作る」と感じているから、それが、譲ることができないひろみちゃんの信念なんだろうな、と感じました。

そんな安心でおいしいりんごと、元気なパワーをもらえるひろみちゃんに逢いに、是非りんご園に遊びに来てくださいね!!

 

 

『ひろみちゃんのりんご園』

住所…島田市牛尾313
開園時間…毎週土曜・日曜・祭日(雨天中止) 9:30~16:30
*平日、時間外については、電話にてご相談ください。
*遠方よりお越しの方は収穫状況を問合せてからご来園ください。
駐車場…あり
電話番号…0547-45-2294